わらべうたについて
わらべうたと聞くと、日本の昔の歌といったイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか?
ある地域のイベントをテレビが放映していて、絣の丈の短い着物を着たこどもたちがわらべうたを歌っていました。その地域の合唱団がわらべうたを披露する場面だったと記憶しています。「日本の昔の歌」と思われている方のわらべうたのイメージなのでしょう。
わらべうたは昔からありますが、よく耳をすませば今のこどもたちも上手に生活の中に取り入れています。そして、研究者の書かれた本を読んでいくと、世界中に「わらべうた」があることがわかります。
「マザーグース」はイギリスのわらべうたです。映像でですが。英語圏の国での乳幼児と大人の集いで「マザーグース」で遊んでいるのを見たことがあります。こどもは大人の膝に座り、輪になって遊んでいました。私がやっている親子のわらべうたと、取り上げる歌の違いはあっても、同じだと思いました。イギリスだけでなく、ヨーロッパやアフリカにも、その他の地域にもあります。
それらの共通点は5つの音(ドレミソラ=ペンタトニック)で構成されているということです。他の地域との比較を構成音と終止音で比べてみますと、メロディーは最低2つの音で構成されます。日本のものはレとド、ヨーロッパのものはソとミです。終止音では日本のもののほとんどがレで終わり、ヨーロッパのものはドです。共通点があるものなのに、実際に歌ってみると印象が全く違います。この他の共通点は狭い音程(半音)がないという点で、これも歌を歌い始めたこどもの喉には優しいものです。
就学前の音楽教育
音楽の進化の中で見るとドレミソラの5音は非常に原始的なものです。このあとヨーロッパではドレミファソとラシドレミの2種類の5音(ペンタコード)、7音(ディアトニック)、12音(クロマティック)と進んで行きます。学校で習う音楽のほとんどが7音で構成されるディトニックの音楽です。ベートーベンとかショパンとかの作曲した音楽も7音の音楽です。
幼い頃にわらべうたで歌い楽しみ、小学校へ行き7音の世界を体験するのは、ちょうど人類の音楽の歴史を駆け足で辿っているようです。しかも、こどもの喉や耳にも優しいです。音楽能力の面でも、5音の広い音程を、その時の体の調子や気分で好きな音の高さで十分に楽しむことはその後の音楽活動の土台となります。
私は、私の音楽教室でもバイエルから始めていたものをわらべうたに変えました。わらべうたを様々な高さで歌い、演奏し、歌って演奏できたものをノートに書くという繰り返しで
楽譜の読み書きを学び、記号として音が読めるのでなく、読んだ音を体の中で響かせることができるようにしています。そしてほとんどすべての歌えるようになったこどもは楽器に興味を持ちます。歌うということは音の読み書きという小さい問題だけでなく、音楽をすることの強い動機付けという非常に大事なものをこどもに芽生えさせます。そして、私の音楽教室で学んだこどもたちは、個人差はありますが、自分や周りの人を幸せに出来る程度の音楽はどの子もできるようになっています。その中には、プロとして演奏活動している子もいます。
就学前に必要な音楽教育は、強い動機付けと土台作りと考えています。